栗東民報

2011年度
予算編成にあたっての要求書を提出 


                 2010年12月27日
栗東市長 野村昌弘 様
教育長  森本 明 様

               日本共産党栗東市委員会
                   委員長 國松清太郎
               日本共産党栗東市会議員団 
                      國松清太郎
                      太田浩美
                      大西時子
               日本共産党農業委員
                      三浦平次


 2011年度 栗東市予算編成にあたっての要求書

昨年の総選挙で、自民公明政権が退場し、国民の期待が民主党政権を誕生させました。しかし、今年の参議院選挙では民主党政権に厳しい審判を下しました。国民の願いに応えられなかったことや、政治と金の問題があいまいにされてきたことなどが、原因と言われています。市政運営においても、市長の選挙公約が実現に向かわなければ、厳しい審判が下されると言わなければなりません。

政府の三位一体の改革や長引く不況などで、地方自治体の財政状況は極めて厳しい状況になっています。そういう中で、栗東市は、税収確保として、企業誘致に力を入れ、法人市民税の確保を図ってきましたが、H3年度の25億円をピークに、H21年度決算では11億円と、14億円も落ち込んでいます。菅首相は、さらに法人税率を5%も下げると言っており、法人市民税収がますます落ち込むことは避けられません。

また、新幹線新駅建設資金の確保策として、たばこ税収を確保しようとして、10年間で50億円以上の税収が見込める業者に、1割の担保と極めて低い金利で5億円を貸し付けてきました。しかし、たばこ税収は予定通りに納入されず、すでに9月28日に返済期限が切れた貸付金が、未だに返済されていません。今年度中に返済予定の7億円が返済されなければ、財政は厳しさを増すばかりです。こういった企業優先の市政運営が、今日の財政悪化を招いていることは明らかです。

2008年のアメリカ発の経済危機が日本経済を冷え込ませ、雇用状勢を悪化させてきました。非正規・不安定労働者は大幅に増え、年間所得が200万円以下労働者は1千万人を超えたと言われています。本市においても生活保護世帯が大幅に増えており、日常生活すら困難な人々が急増していることが身近で感じられます。

このような中、地方自治体の果たす役割はいっそう重要となっています。地方自治法第1条2項は「地方自治体の本来の役割は住民福祉の増進」と定めています。開発優先・企業優遇の市政運営から、市民の暮らしを守ることを最優先に掲げられるべきです。国の医療や介護における負担増、障害者自立支援法による負担増などから、その防波堤となって限られた財源を福祉・教育守ることを最優先に使われるよう強く求めるものです。


来年度における予算編成に対し、下記の事項を要求いたします。2011年1月31日までに文書での回答をお願いいたします。

1、財政再建に向けて


栗東市は1983年以来26年間不交付団体、今年度は交付団体になったものの、財政力指数は0.99と基本的には恵まれた財政状況でありながら、地方財政健全化法による将来負担比率において黄色信号が懸念される状況です。

この原因は、大型開発中心の巨額な支出と土地開発公社による借金、公債費の増大、三位一体改革や県財政構造改革プログラムの影響、法人市民税の減収などが上げられます。

(1)法人税率5%引き下げと言われる中、リチウムエナジージャパン鰍フ企業誘致に、奨励金5億円・固定資産税半額免除の特別待遇は、危機的な市の財政を圧迫することにしかならない。やめるか、財政が好転するまでの間、延期するよう求めます。


(2)財政を圧迫している原因である土地開発公社所有地について、高額取得となった経過と責任を明確にすること。その上で、処分による巨額な損失負担でなく、第4中学校の建設用地としての利用や福祉・教育、スポーツ施設等の活用方法を市民とともに検討し、市民福祉や教育の充実のために役立てられたい。

(3)国に対し、地方財政健全化法の見直しと地方財源確保を要求されたい。

(4)一般競争入札や電子入札制度を導入し、適正な工事単価に取り組まれたい。


2、安心して医療や介護が受けられるよう福祉の充実を


(1) 社会保障制度としての国民健康保険の運営に万全を期されたい

@国保税が4年連続で引き上げられ、滞納世帯数も大幅に増えました。所得の低い世帯が多数を占める国民健康保険加入者にとって、大変重い負担となっています。誰もが払える国保税となるよう税額の引き下げを求めます。あわせて、 誰もが払える国民健康保険税にするために、所得が生活保護基準の1.2倍以下の世帯を対象にするなどの合理的な基準を設けて、栗東市独自の保険税の減免制度を創設されたい。

A本市は県下で一番資格証明書の発行数が多い自治体です(本年度当初で256)。
保険証を取り上げて資格証明書を発行することはやめ、すべての加入者に保険証を発行されたい。

B2009年4月・2010年7月の2度にわたる法改正によって、高校生以下の子どもへの短期保険証の交付が義務づけられました。ところが、本市には27人(16世帯)の高校生以下の子どもが存在しています。直ちに保険証を子ども達の手元に届けられたい。

C所得によって医療を受ける権利を制限することは、許されません。誰もが安心して医療が受けられるよう国民健康保険法第44条に明記されている窓口減免を実施されたい。


(2)後期高齢者医療制度について

@高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度をすみやかに廃止されるよう、国に働きかけること。

A高齢者の受診抑制はただちに命に関わることから、高齢者への資格証明書や短期保険証の交付は決して行なわないこと。


(3)介護保険や老人福祉に関して

@厚生労働省は、2012年度実施の介護保険制度のさらなる見直しを検討しています。その内容は、
・軽度の要介護者や要支援を保険対象外にするか、現在の1割負担を2割負担にする。
・ケアプラン作成を、無料から毎月1000円負担にする。
・2〜4人部屋の部屋代を1割から2割負担にする。
などです。これらが実施されれば、市民負担は大幅に増え、ますます受けたい介護が受けられない状況が広がることが危惧されます。国にこのような見直しをやめるよう要求されたい。

A市内の施設入所への待機者200人の解消と在宅介護を支えるショートスティやデイサービスなどの充実を図られたい。
 
B高齢者への路線バス等回数券補助を、高齢者の外出や健康増進だけでなく、公共交通の活性化、公共施設利用の促進など総合的な効果をもたらすものとして復活されたい。


(4)障がい者の権利と暮らしを守るために

@障害者自立支援法の早期廃止と応益負担の撤回を国に求めるとともに、市として可能な支援、東近江市などのような通所自己負担への公費全額助成を実施されたい。

A毎年のように養護学校高等部卒業生の受け入れ先が大きな課題となっています。地域の学校でも特別支援学級で学ぶ子や養護学校に通う児童生徒は大幅に増えています。本市には、そういった通所施設が他市と比べて少ないことからも、施設整備の充実を図られたい。
あわせて、障がい者が自立した生活を営んでいくために、グループホーム、ケアホームの充実は不可欠です。施設整備促進のための積極的な支援を求めます。

B事業所の利用実績払い(日払い制)の導入は、施設や事業所の経営を苦め、職員の給与の引き下げや施設の廃止を余儀なくさせています。利用実績払いの見直しを、国に求めるとともに市独自の支援を実施されたい。

C障害者自立支援法や物価高で障がい者の負担が増えているなか、障害者の自立した生活保障となる移動支援やガソリン・タクシーチケットなどの施策の充実を図られたい。また、安定的な仕事確保のため、福祉施設へ栗東市の関連事業の委託を増やすこと。

D精神障がい者に対する支援制度は、身体・知的障がいに比べて、まだまだ不十分です。運賃割引制度を身体・知的と同様にされたい。あわせて雇用の促進のための手立てを講じられたい。



3、子どもたちが、豊かに育つ環境づくりを


(1)就学前の子どもの医療費無料化を
就学前の子どもの医療費について、県内で自己負担金があるのは本市だけです。就学前の医療費の無料化(窓口負担なし)を求めます。
国の施策として、子どもの医療費無料化が取り組まれるよう働きかけられたい。

(2)子宮頸がん予防ワクチン・ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチンへの公費負担について
国からの補助はH23年度までと言われている。命は平等の立場から、H24年度以降の公費負担の継続と定期接種化を国に求められたい。

(3)H24年度以降も妊婦検診への公費負担を継続するよう、国に求められたい。

(4)待機児童の解消と公的保育の充実を

@国は保護者と保育園が直接契約する方式を基本とした保育制度改革を進めようとしていますが、これは国・自治体の保育の実施責任をなくし、国民に負担を押し付けるものです。  保育関係者から求められているのは、このような制度改革ではなく、保育にかかる予算を増やすことや公的保育制度の充実であり、これを国に要求されたい。

A依然として待機児童が発生しています。子どもの豊かな育成を保障するために、正保育士の大幅増員と臨時保育士の確保を行い、待機児童を解消されたい。

(5)学童保育所の充実を
@児童数の増加により、学童保育所の整備・拡充が急務となっています。必要に応じた増設や新設を計画的に進められたい。保育料の引き下げと収入に応じた減額免除制度の充実を行なうこと。市の責任で、4年生以上の保育も実施されたい。

A学童保育所指導員が安定的な身分で、安心して働き続けられるよう改善に向け検討されたい。指導員の定期的な研修を行ない、資質向上に努めること

(6)母子家庭、父子家庭への支援充実を
一人親で子育てしている家庭では、経済的負担に加えて精神的負担も大きくなっています。相談体制や経済的支援などを充実させること。

(7)児童虐待に関わる支援体制の充実を
児童虐待の痛ましい事件は後を絶たずに発生しており、家庭児童相談室の役割は重要です。学校や保健センター、県子ども家庭相談センター、医療機関などの関係機関との連携を強化し、早期発見・早期対応を図ること。相談員の充実など支援体制の充実を図ること。

4、子どもたちの教育環境の充実を


(1)子どもを大切にする憲法をいかした教育の推進を
@1人ひとりの人権と、思想、信条、良心の自由を重視した教育の推進が必要です。教職員や児童生徒の内心の自由を踏みにじり、教育現場を国家統制の道具とする「日の丸・君が代」の押し付けは行なわないこと。

A平成19年4月に実施された全国一斉学力テストは、都道府県ごとの平均点が公表され、結果として学校を序列化し、競争をあおっているだけで、学校教育の充実や学力向上にはつながっていない。このような全国一斉学力テストには参加しないこと。

BH23年度から8年かけて小中学校全てのクラスで30〜35人学級を実施することとなりました。文部科学省は、すでに先行して実施している自治体は、さらに推進してもよいとの見解を示しています。県に対し、国の計画の前倒しで、少人数学級制を早期に実現するよう働きかけられたい。

C就学援助の準要保護の国庫負担が削られましたが、市独自での継続を図ってこられました。今後も継続・充実されたい。そのためにも国に国庫負担を元に戻すよう求めること。

D義務教育は無償の原点に立ち、小中学校の修学旅行や校外学習等への保護者負担を軽減されたい。

(2)教育環境の整備を
@栗東西中学校区の生徒増対策の方針を、早期に示されたい。生徒の教育環境を第一に考えれば、分離・新設するべきです。

A災害時の避難場所となる小中学校舎の雨漏りや施設の破損などについては、定期的に調査点検を行い、修繕のための十分な予算を確保すること。

B暑さ対策として、保育園・幼稚園・学校施設へのエアコン設置を、計画実施すること。

C給食センターの老朽化が激しいため、耐震工事だけでなく、新設を視野に入れ、小学校・幼稚園・保育園の給食の充実を図られたい。中学校給食を実施されたい。

D学校図書の蔵書を大幅に増やし、子どもたちの一番身近な学校で、本に親しむ環境を充実されたい。また、市立図書館とLANなどで連携し、貸し出しの充実を図られたい。


(3)発達支援室と特別支援教育充実のために
@発達支援室では、まず相談を受け、具体的支援につなげていくことが重要です。そのためには、専門的知識を持ち、ライフサイクルを見通せる職員配置が必要不可欠です。本人や保護者・関係者の悩みに応えられる体制と就労期までの支援ができるよう充実されたい。

A「たんぽぽ教室」や「ことばの教室」は年々通級児が増えています。待機児童を出さないよう、必要な職員を確保し、拡充した支援体制とされたい。

BH23年度4月から、教育センターが開設されます。「児童生徒支援室」や「ことばの教室」が移転されることで生じる様々な課題については、丁寧に対応すること。

C学校現場では、軽度発達障害児だけでなく、どの子にもきめこまやかな教育ができるよう、通常学級における授業改善を行なうこと。必要に応じて教員・支援員を増員し、特別支援教育の充実を図られたい。


(4)市民文化の向上と芸術活動発展への支援を
@市立図書館(本館、西図書館)の蔵書やCDなどの資料を充実されたい。
移動図書館みどり号の学校巡回を再開されたい。

A歴史民俗博物館の老朽化が進んでいます。修繕費や維持管理費を十分確保されたい。

B芸術文化会館『さきら』や福祉施設、スポーツ施設等への指定管理者制度導入は、利用者の意見を十分聞いた上で、募集などにあたること。市民サービスが低下することのないよう、事業の継続性を確保すること。


5、地域経済を支える農林業・中小業者への支援を


(1)地域経済の発展と中小企業の振興のために
@地元中小業者の受注機会拡大のために「小規模工事契約希望者登録制度」を実施されたい。

A地域経済に大きな効果が認められる「住宅リフォーム補助制度」を実施されたい。県内では4市3町(09.5月時点)で実施され、中小業者の仕事確保と雇用創出、地域経済の活性化に効果があると言われています。

B小口簡易融資制度の積極的な取り組みと手続きの簡素化をはかること。

(2)地産地消で安心安全な食料の提供のために
@TPP(環太平洋戦略的経済協定)への参加に反対するよう国に働きかけること。

A残留農薬や遺伝子組み換え、アメリカ産牛肉の輸入などを行なわず、消費者に安心安全な食を供給できるような対策を国に求めること。

B農業で生活ができるよう生産者米価を60キログラム当たり18,000円以上の価格保障と所得補償の実現を国に求めること。麦・大豆・野菜等への価格保障の充実を図ること。

C保育園や学校給食の食材に、地元農産物の利用向上を図られたい。

D強制減反をやめ、食料自給率の向上を図るよう国に求められたい。

E農業技術指導員を充実し、生産と販売指導をはかられたい。


(3)林業への支援と鳥獣害対策を強化すること
@植栽した杉・桧・松などが、外国材の輸入によって採算が取れないため、枝打ちや間伐作業がおろそかになっています。林業労働者の雇用や森林管理のための作業道の整備が必要です。このための補助金の充実を国に求めること。

A猪・鹿など獣害が年々増加し、被害は深刻化しています。防護柵への補助拡大をはじめ、総合的な対策を講じるよう、国・県に求めること。

Bなら枯れが深刻化しています。被害防止のための総合的な対策を講じられたい。

6、市民のいのちと暮らしをまもり、安心して住み続けられるまちづくりを


(1)RD産廃処分場問題について
@地下水汚染の原因となっている、処分場内に埋められた有害違法廃棄物は全て撤去し、安全対策を講じること。将来的に禍根を残すような対策は認められない。

A住民の納得と合意を得る対策工を策定するために、埋め立ての全容解明を行なうこと。

B産廃特措法の延長を、積極的に国に働きかけること。


(2)生活と暮らしに関わること
@地価下落による固定資産税の引き下げと、都市計画税を廃止されたい。

A市の公共料金の引き上げは行わないこと。また、消費税の転嫁は撤回されたい。

B税金その他の分納期間は、延滞税の免除措置を講じられたい。

C地域コミセン等公共施設の利用料減免制度が廃止され、子育てサークルや生涯学習への参加が阻害されています。生涯学習宣言の町にふさわしい見直しを行うこと。

D地域財政特別措置法が失効して8年、県内でも特措法に基づく個人施策を廃止している自治体があります。同和地域における固定資産税の減免や修学奨励助成金給付等を廃止されたい。


(3)防災防犯に関して
@高層マンションの増加に伴う防犯体制の検討を行なうこと。

A地域調査を行い、消防車や救急車が進入できるよう道路の改善を図ること。住民との協働で緊急避難体制を早期に確立されたい。

B30年以内の琵琶湖西岸沖断層帯の地震予測や被害が予想されており、地域防災機能を強めるまちづくりを進めること。河川や道路、堤防の改修を行なうこと。

C地震などの大規模災害による住宅建て替え、補修のための基金を創設し、積み立てられたい。


(4)道路等の整備に関して
@金勝川、葉山川の平地化の早期実現で、水害対策と交通渋滞の緩和を図られたい。

A中山道(大津能登川長浜線)の大宝神社公園付近の歩道整備を行うこと。
歩道の中心に桜の木が2本あり、非常に危険。また、老人カーや車椅子が通行できず、交通弱者が狭い歩道にはみ出しています。通学時でも交通量も多く大変危険であり改善されたい。

B開発は住民合意を基本とし、調整区域の無計画な開発は行わないこと。住宅開発を行う場合は、同時に生活道路の整備もあわせて行うこと。


    









7、平和と民主主義をまもり、市民本位の市政を築くために


@日本国憲法は世界の宝であり、世界への日本の公約です。日本国憲法の改悪に反対し、中でも憲法25条の精神を市政に生かし、市民の福祉と暮らしまもることを市政の中心にすえられたい。市民の声が通る明るい市政運営をされたい。

A平和都市宣言の市として、平和市長会議に参加し、平和事業に積極的に取り組まれたい。

B北朝鮮による拉致事件の早期解決のため、話し合いを進めるよう政府に働きかけること。

C自衛隊とアメリカ軍の日米合同演習に反対し、饗庭野をアメリカ軍に使わせないよう、国と県に働きかけること。



8、指定管理者制度と公共性の確保について


@指定管理者の更新や公募にあたっては、関係者・団体の意見を聞いた上で、十分な検証をすること。

A指定管理者制度の運用にあたっては、市民の安全確保やサービスの低下を招くことのないよう、施設運営や事業の継続性を担保できるような体制をとること。

B市は公の施設の責任者として、指定管理者を管理・チエックする体制を確立すること。

C市の業務を指定管理や民間委託する場合は、その施設の設置目的に応じた公共的な団体を選ぶこと。



                                                    以 上